現在、政府税制調査会では、配偶者控除の見直しを主として所得税制度の改革が議論されています。

 

家族のうちに所得の少ない人(配偶者、両親、子供など)がいる場合に

その人たちにかかる最低生活費の負担を考慮し、

「配偶者控除」「扶養控除」などの「所得控除(人的控除)」が設けられています。

 

仮に、サラリーマン家庭で専業主婦1人、16歳の高校生1人の3人家族があったとします。

その場合、このサラリーマンの所得税の計算では、給与所得(総支給額-給与所得控除)から

配偶者控除38万円と扶養控除38万円の合計76万円を含む所得控除額を控除し、

その後の金額に税率をかけて所得税が計算されます。

 

税制調査会では現状の「配偶者控除」「配偶者特別控除」を廃止し、

「所得控除方式」ではなく「税額控除方式」による負担の軽減を図る方法を模索しているようです。

 

「所得控除」と「税額控除」の違いを説明するには、

個人の所得税の計算の仕組みを理解する必要があります。

所得税はおおまかに

ア.合計所得金額(給与所得、事業所得などの合計)

イ.所得控除(配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除、基礎控除など)

ウ.課税所得金額(ア-イ)

エ.所得税(ウ×税率)

オ.税額控除(住宅ローン控除など)

カ.納付税額(エ-オ)

この順序で計算されます。

 

現在の配偶者控除は「イ」の所得控除に分類されます。

を「オ」の税額控除に変更しようと議論されています。

 

所得税の税率は、「累進税率」とよばれ、所得の多い人ほど高い税率になるよう設計されています。

たとえば、課税所得金額が195万円以下の部分は5%、

195万円を超えて330万円以下の部分は10%というふうに段階的に税率が上がります。

 

仮に課税所得金額が190万円のAさんと、300万円のBさんがいた場合、

「配偶者控除」の38万円を控除することによって、

Aさんは19,000円の減税、Bさんは38,000円の減税という結果になりますので

結果的に高所得者ほど減税額が多いということになります。

 

これを「税額控除方式」におきかえると、「税額控除」は税率をかけた後の

税額から直接控除するので、仮に10万円を控除するとした場合には、

Aさんは10万円、Bさんも10万円と、同額の減税が行われます。

これが「所得控除方式」と「税額控除方式」の大きな違いです。

 

※便宜上、所得税のみを計算しています